【コラム】野良猫へのエサやりはやめさせられるか

2016-08-17

1 ねこあつめて裁判?

 最近、「ねこあつめ」というアプリが大ヒットして注目を集めました。この「ねこあつめ」は、画面上の庭にエサとグッズを置いておくと様々な猫が集まってくる、というものですが、実際、野良猫にエサをあげていて裁判になった例があります。どのような裁判かというと、ある人が野良猫にエサと寝床を与えていたところ、その野良猫が隣人の家の庭に入って糞尿を繰り返ししたため、その隣人が損害を被り、その賠償を請求したというものです。

 

2 猫の性質

 猫はエサがあるところ、寝床があるところに居着く性質があります。とはいえ、元々野良猫だと一定の範囲を気ままにうろうろするので、その居着いた家以外の場所に行くこともしばしばあります。そして、行った先の庭で糞尿をしたり、糞を埋めるために庭の砂を掘り返して庭を荒らしたりすることもあります。また、木や家の壁・柱などで爪をといだり、発情期だと昼夜問わず独特な声を出して相手を探したりもします。

 これらの行為は、その猫にエサをあげてかわいがっている人にとってはかわいい猫がする行為として容認できると思いますが、猫嫌いな人や庭を荒らされている人にとってはたまらない行為かも知れません。

 

3 エサやりをやめさせたい

 では、近隣の人が野良猫にエサをやる行為をやめさせることはできるのでしょうか。

 その方法としては、人格権に基づく差し止めやマンションの区分所有権に基づく妨害予防請求、マンションの規則を遵守するように請求することなどが考えられますが、実際上は市役所等に相談し、行政指導をしてもらうことが現実的な手段だと思われます。

 行政としては、エサをあげている人に対し、飼い猫として室内で飼うべきことや不妊・去勢をすることを指導することとなります。

 これらに従ってもらえない場合には、上述したような請求手続を採らざるを得ません。また、騒音(鳴き声)で眠れなくなった人や庭を荒らされている人については、社会生活の中で仕方なく我慢すべき度合い(受忍限度)を超えていると認められれば、野良猫へのエサやりが不法行為となりうるので、併せて損害賠償請求をすることも考えられます。

 なお、先に紹介した裁判では、野良猫へのエサやりを継続して行ったことが不法行為であるとして、エサやりをしていた人にネット設置費用、慰謝料及び弁護士費用の支払いが命じられました。

 

4 猫への愛護と近所への配慮

 仮に、エサやりを止めさせたとしても、実は問題は残されています。

 いくら迷惑しているとはいえ、その猫にとっては急にエサと寝床を取り上げられることになりますので、悲しい結末も無いとは限りません。

 しかも、飼い猫と同視できる程度にまで世話をしていたとすれば、むしろエサをあげないことが違法になる可能性もあります(動物愛護法44条2項には、みだりに、給餌若しくは給水をやめて衰弱させた者は、百万円以下の罰金に処すると定められております)。

 エサやりによって、非常に難しい問題が生じてしまうのです。

 先に紹介した裁判では、野良猫へエサをあげていた者について、エサやり行為は「野良猫を愛護する思いから出たものと窺われ、そのような思いや行動は、それ自体が直ちに非難されるべきものではなく、可能な限り尊重されるべきとはいえるものの、他方で、相隣関係においては相互に生活の平穏その他の権利利益を侵害しないよう配慮することが求められるのであって、餌やりによって野良猫が居着いた場合、その野良猫が糞尿等により近隣に迷惑や不快感その他の権利利益の侵害をもたらすことがある以上、そのような迷惑が生じることがないよう配慮することは当然に求められるというべきである。」と述べられております。

 

5 まとめ

 近所の野良猫の糞尿被害に悩まされている人も、エサをやりたいけれど近所から苦情を言われている人も、当事務所では、行政に申し立てる内容や行政指導への対応、裁判を起こす手続きや起こされた裁判への対応等について、個々のご事情に即したアドバイス・提案をさせていただきますので、まずはお気軽にご相談下さい。

 (参考裁判例:福岡地方裁判所 平成27年9月17日判決)

 

ページの上部へ戻る

Copyright© 2013 弁護士事務所(法律事務所)をお探しなら権田総合法律事務所へ All Rights Reserved.
弁護士専門のホームページ制作